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2014年2月

2014年2月 5日 (水)

プロボウル総括

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今回のプロボウル帯同においての目的は大きく分けて2つ

1,コーチとの関係の構築

2,最高レベルの選手の実力を知る

ゴマスリしても通じない。うわべだけではなく本音で、本気で接する事がすべてだと。。一期一会の心で接することが、1度限りではなく、継続した人間関係の構築につながり、近い将来に日本人NFL選手を出す事に必ず繋がってくる。

心からそう信じ、コーチ陣に対し、誠実に情熱を持って接していった。

今回、自分が担当したのはインディアナポリスコルツ コーチングスタッフは12名。イクイップメントなどを含めると総勢20人を越える大所帯での参加であった。

日本では1人で、チーム作りやゲームコントロールしているなどの話は、分業制の彼らにとって信じられない話であったようで、逆に自分に対して、仕事を他人に託す術を教えてあげようと、色々と教えてくれるきっかけになったのかと。。

HCへは、組織としてのフィロソフィー在り方。各コーチへの責任の託し方、選手への接し方、集団を率いる心構えを聞いた。色々と話をしてくれたので自分なりに整理するとこの2つの言葉。

"Respect" "Communication"

お互いに相手を敬い、相手を理解する心を持って接して行く事。 会話を重ねる過程において、相互理解を高め、責任感を植えさせて行く。 責任を与えた限りは、コーチの考えに疑いを持つことなく、考えを尊重する。その都度、おかしい事、気になることがあれば“個別“で話をして解決をして行く。

実に当たり前のことであるが、それを大所帯のスタッフの中で出来るかが難しい。ポジションコーチに落とし込み、選手とコミュニケーションを密にさせる。 もちろん選手に対しても同様に同じ事が言える。いかにして、リーダーに落としこませるか統括させる術を伝えるか。信頼し、想いを託せる選手がいるか。。 そして、お互いに場をわきまえるということが大切に思う。

場の雰囲気を読むというか。。 例えば全体ミーティングで、1人の選手がコーチを否定する発言をするなどという事例は組織の未熟さゆえか。相手の立場を理解して考えれば、事前にコーチ、選手で個別に解決をするべき事例でありチームの問題に発展させてはならない。 コーチが選手を指摘する場合も同様に、皆の前で怒鳴るような事も考えなければならない。 意外にもこのような事例が日本には多いように感じる。 年齢や役職を気にする前にひとりの人間。

お互いに尊重し、共に歩み、共に成長していく理解と努力が必要なのである。それがあって、初めて1対1の場では立場を越えた本音の会話が生まれるのだろう。

コーチング組織の充実がそこまで確立していない日本のフットボール界の状況を考えればしょうがないが、ここが大きな要素をしめているのも事実だろう。

会話なくして理解なし。

相互理解なくして信頼なし。

信頼なくして本音なし。

本音なくして強い組織なし。 そんな事を言いたかったんだろうなと、HCパガーノの話を捉えている。

一方、選手達に目を向けてみるとどうだろう。 やはり1流の中の1流は、予想を遥かに越えた圧倒的存在感に満ちていた。 まず選手達のサイズ。 身体の大きさはしょうがないで済まされる問題ではないほどの圧倒的な大きさだった。

その集団の中で、最大限に力、技術を駆使して戦いあう本当の迫力は、テレビからでは決して感じ取れない別次元のものであった。 ラインズのサイズは、身長190cm後半が平均値。体重は130kg以上。しかも大きいだけでなく身体を最大限にコントロールする能力を持ち合わせている。

バックスは、小さいながらも当たりに強く、方向転換やタフネスで突出した運動能力を持つ。 選手全員が圧倒的サイズを持ち、さらに、フットボールの基本的な動作や技術が身体に染み付いているということ。

基本(ファンダメンタル)とされる事は、日本で行っていることと比べても何ら差が無いことを考えるのであれば、大きい方がそれは強いはず。いったいどこでアドバンテージをとれるのだろうか。。

特に、技術(ボールスキル)に関しては、10ヤードの差と安定感!と日本フットボール界と大きな差があると言いたい。 ここがフットボールをするうえで大きな要素になってくる。

単純に、投げる。蹴る。という基本的動作が平均で10ヤード以上の差があるだけで考えても、例えば、QBの投げる距離があと10ヤード後ろであるだけで、WRはより速く遠くで捕らなければならず、DBは、さらに深さを求められ、LBはより前後の反応を要求される(実際LBの身体つきは機動力重視型)。DLはより速いラッシュを求められる。

そして、PUNTが70ヤードをコンスタントに出せるのであれば、自陣での攻撃はより攻撃的となるし、パントカバーチームには、リターナーへの寄り、スピードをコントロールする力が要求される。実際にゲームの中で、リターナーが左右に激しく振るのを、全力で真っ直ぐ詰めて来た選手はすれ違うことなく反応(ミラー)していた。

つまり、キックの平均値をあと10ヤード伸ばす事で、それに関わるユニットのメンバーに求められる技術、能力の負荷が大きくかかることとなり、その環境に適応して行くことにより、相乗効果でフットボールの質が磨かれて行くということになる。

以上の事からも、日本フットボール界に求められているのは、現状維持ではなく、具体的目標に対しての進化!

その進化の過程で求めるべきことは、決して【無い物】【届かないもの】なのではない。ただ、機会が少ないだけ。 見て知る事。差を体感する事!目指すべき基準値を上げること。 そうする事で【ある物】【届くもの】へと意識を変えていく事が必要なのだ。

そのためには、今の日本フットボール界の中ではなく、NFLという最高峰へと目を向けることのできる環境を作り上げる事が必要である。そして、今はそのNFLチームとの繋がりを作るチャンスが目の前にあり、帯同したコーチはその責任を担っている。

過去のプロボウルへ参加したコーチには、帯同したチームのプレシーズンゲームでサイドラインへ立った経緯もある。そのような取り組みをいかにして、繋げ、広げ、共有するか。

日本フットボール界の将来を考え、想い、先を見据えた行動を取れるようになる人を増やして行くことが大切なんだと気づかせてくれた今回のプロボウルだった。

ここからさらに貪欲に、図々しく、帰国後のアフターフォローから先の道を繋げていきたい。

最後に。 今回、アメリカンフットボールの最高峰の中の最高峰の選手が集まるプロボウルに参加させていただこと。このような素晴らしい機会を与えてくださった皆様。そして、現地にて沢山の手助けをしてくださった皆様に、御礼申し上げます。本当にありがとうございました。